正々堂々と戦うな

人の関心を引くのは簡単だ。一般的な価値観と反対のことを言えばいい。大学時代の教授から教えられた言葉で、もっとも記憶に残っている言葉は「正々堂々と戦うな」である。

教授の話はこうだ。「正々堂々と戦えば、誰が勝つか。答えは明確。実力のある者が勝つ」。つまり「正々堂々と戦え」とは、相手よりも実力が明らかに上の場合に、対戦相手に求めるべき態度なのだ。

だから、「もし実力がないならば、正々堂々と戦ってはいけない」。負けるに決まっているのだから。実力のない者は、力をつけるべく戦い直前まで努力すべきだが、それでも実力差を埋められない場合は、「正々堂々と戦う」という実力ある者にとって有利な土俵自体に上がるべきでない。たとえ卑怯者と言われたとしても。

身体の小さな力士が、横綱とがっぷり四つに組んでいては勝負にならない。相手の意表を突く奇襲を仕掛け、わずかなチャンスを掴み取らなければ勝ち目はない。織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を奇襲したように。

弱者は「正々堂々と戦う」という自己陶酔のために、無謀な戦いに挑むべきではない。