給与は嫌なことに耐える我慢料?

仕事や勉強、スポーツなどに取り組む時の考え方は、大きく2つのタイプに分けられる。一つ目は、仕事は辛いのが当たり前という考え方だ。辛いことを乗り越えてこそ、人としての成長がある。それに対して、もう一方は仕事は楽しくなければならないという考え方。好きで楽しいからこそ身につくし、長く続けられる。

前者は、仕事は本質的に「辛い」ということが前提になっている。千本ノックに代表されるように、血のにじむような苦労をしてこそ、人は成長できるという前向きな捉え方だけでなく、「嫌なことに耐える我慢料として給与が貰える」というネガティブな考え方も含む。根強い人気を誇る“スポ根”ものも、辛いことを乗り越えることが、勝利や成功に辿り着くための唯一の道であると教える。

もう一方の楽しさを重視した考え方は、アメリカ的な考え方だとか、「最近の若者」に結び付けられがちだが、「好きこそ物の上手なれ」ということわざがあるように、最近出てきたわけではない。いかに楽しくできるか、いかに好きになれるかを重視する。たとえば、日本人初のコンディショニング・コーチとしてニューヨーク・メッツに在籍した立花龍司さんは「自分の子どもを野球選手にしたいのなら、野球を好きになる環境を整えるのが一番の近道」と話す。

この2つの考え方のいずれを取るかは個人の価値観の問題であり、第三者がとやかく言うべき話ではない。

これまで2つのタイプをあえて対立的に述べたが、これは正しいのだろうか。理想論としては、やはり好きがベースにあることは圧倒的に強い。好きなことはいくらやっても疲れないし、工夫やアイデアも自然と湧き上がる。だからこそ、まずは自分の取り組む仕事や勉強、スポーツを好きになるべきだろう。

しかし、この好きになることが意外と難しい。好きな仕事をできることは、この上ない幸運だ。好きになることを諦めた時、好きになれそうな別の仕事を探すか、それとも仕事は辛くて当たり前という前者の考え方に切り替えるのか、どちらかを選ぶことになる。