老人になってから全国行脚を始めた伊能忠敬が凄い

江戸時代の測量家で、初めて実測による日本地図をつくった伊能忠敬が亡くなって、今年はちょうど200年の節目となる。彼に対して「あの時代に日本全国を歩いて測量するなんて大変だっただろうな」程度の感想しか最近まで持っていなかったのだが、その生涯を知って驚いた。

事業家として成功した伊能忠敬が江戸に出て、天文・暦学を学び始めたのは、なんと50歳の時。当時の平均寿命は30代から40代といわれ、庶民に比べて圧倒的に恵まれた環境にいたはずの江戸時代の将軍15人の享年平均が51歳だったことからも、今の時代でいえば70代とか80代になって何かを習い始めたといったところか。

50歳で天文学者・高橋至時に入門し、第一次の蝦夷地測量が始まったのは、忠敬が55歳になってから。その後、17年かけて北海道から九州まで全国を測量して回る。地図の完成を待たず、伊能忠敬は73歳で生涯を終えるが、その弟子たちが2年後に『大日本沿海輿地全図』を完成させた。

老人になってから全国を回り始めたことに驚くとともに、一般の人が人生を終える年齢から新たな分野を学び始め、その偉業を通じて歴史に名を刻んだチャレンジ精神や好奇心の強さに感銘を受ける。「一億総活躍社会」が叫ばれる現代においても、伊能忠敬から学ぶべきことは多い。