オフィスビルの供給不足が招く大阪の新たな課題

三鬼商事(東京都中央区)によると、大阪ビジネス地区の平均空室率は1月が2・72%ーー。2018年7月に3%を切り、その後は2%台の需給が逼迫した状態が続いている。東京も同様に空室率は低いが、大阪との違いは新規供給が活発なことだ。一方の大阪は、空室率が低いにもかかわらず、オフィスビルの新規供給がほとんどない状態が続いている。

これだけ需要が多いのに、なぜ大阪では供給が増えないのかは、興味深いテーマだが、今回は触れない。ただ、需要があるのに新規の供給がほとんどないことで、新たな問題が浮上している。

あるオフィスビルのオーナーは「ビルの建て替えを考えているが、既存のテナントから移転先を確保できないと反発される」と困り顔だ。

【大阪ビジネス地区の平均空室率(三鬼商事発表)】

大阪のオフィス街は、梅田、中之島、御堂筋沿いがもっとも人気が高く、そのエリアで一定規模以上のオフィステナントは、これらのエリアのAグレードビルに移転するのが一般的。「それ以外のエリアや、現在よりもグレードの劣るビルに移転することは、現実的には難しい」(同ビルオーナー)。大阪中心部では19年と21年は新規供給がほぼない状況で、移転しようにも引っ越しする先が見つからない。

オフィスビルの再開発では、東京・大手町が「玉突き方式」で成果を上げているが、継続的な建て替えがあってこそ、再開発のスピードも上がる。

大阪は東京に比べてマーケットの規模の小ささも影響しているが、一気に動き、一気に止まる傾向が強い。うめきた2期や、旧大阪中央郵便局などの「梅田3丁目計画(仮称)」といった既存オフィステナントがいない一等地の種地をうまく活用することで、継続的な都市の新陳代謝を促すことが求められる。