加速する新聞の高齢者向けメディア化

皆さんは、新聞を購読しているだろうか?父と私の二代続けて新聞記者だったにもかかわらず、私は久しく購読していない。インターネットでニュース記事を読んだり、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」を見るぐらいで、紙の新聞を開くこと自体ほぼない。

先日、喫茶店に置いてあった新聞を、珈琲を飲みながら久しぶりにめくってみたが、少し驚いた。記事の中身ではない。紙面の下や、時に一面を使った広告についてだ。その中身は健康グッズや痛みを和らげるサプリ、有料老人ホームの入居者募集、ツアー旅行など明らかに高齢者を意識したものばかり。求人広告すら「50代、60代も活躍中」などと書いてあり、読者が高齢者に偏っていることを明確に示す。

新聞やテレビなどのオールドメディアは従来、若者からお年寄りまで幅広い世代を対象に総合的なコンテンツを提供してきた。しかし、かなり以前からの若者の新聞離れ、そしてインターネットの普及とともに若者のテレビ離れが進み、オールドメディアは加速度的に高齢者向けメディアに姿を変えつつある。テレビよりも新聞、新聞の中でも経済紙よりも一般紙の方が状況は深刻だ。

日本の人口のうち、60歳以上は全体の3分の1を占めており、一定のボリュームがあることは救いだが、頼みの団塊世代が70代となり、主力の高齢者マーケットもこの10年の間に大きな転換点を迎えることは間違いない。

新聞購読が習慣化していない現在の30代や40代が高齢になった時、新たに新聞を購読し始める可能性は低いが、今の若者に比べれば少しは可能性がある。健康や観光など高齢者にとって関心の高い記事をさらに充実させ、「高齢者に欠かせないメディア」としての立ち位置をより明確にするのも、生き残り策のひとつではないだろうか。小学生になる時に、小学館の雑誌「小学一年生」を買うように。