社長と呼ばれる人たちを観察して分かったこと

「社長」というキーワードでイラストを探すと、鼻の下に髭を蓄え、大きな黒革の椅子にゆったりと腰かけている、太り気味の年配男性が圧倒的に多い。実際がどうかは分からないが、世間のイメージする社長はそんな姿なのだろう。

起業し、自分が社長になってから、社長と呼ばれる人たちをそれまでよりも深く観察するようになった。良い経営者に共通する特徴はあるのか、など経営のヒントを求めていたこともあるが、十人十色、個性が強い人も多く、共通項を見つけるのは容易ではない。業種や企業規模、年齢、性別など様々なのだから仕方がない。

ただ、個人的にもっとも特徴が出やすい分類方法は、その人が社長になった経緯にあるように感じる。創業社長、後継社長、会社員から内部昇格したプロパー社長、の大きく3つに分類できる。このほか、複数の会社を経営者として渡り歩くプロ経営者や、親会社から送り込まれた社長などもいるが、割合としてそれほど高くないので3分類にとどめる。

創業社長、後継社長、プロパー社長の中でもっとも力を持っているケースが多いのは、創業社長だ。事業をゼロから創り上げた張本人であり、オーナーでもあるケースが一般的で、さらに長年ともに苦労を分かち合った幹部が脇を固めている。

オーナー社長という点では後継社長も同様だが、自身の手で創業した訳ではなく、厳しい選抜を勝ち残ってきた訳ではないので経営能力は未知数、さらに引継ぎ時点で幹部を完全に掌握できているとも限らない。一方で会社の経営と所有の両方を持ち、権力基盤は盤石で、比較的若い時から経営者になるケースが多いため、長期的な視点で経営しやすいのは大きな強みだ。

最後のプロパー社長は、会社を所有していないケースが多いため、権力的にもっとも弱く、50代後半以降に社長に就任するのが一般的なことから、任期が比較的短く、創業社長や後継社長に比して長期的な展望は描きにくい。一方で厳しい出世競争を勝ち残っている点や、社内に精通している点などは強みといえる。

便宜的に3つに分類したが、もちろんこの分類は万能ではない。たとえば、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長や、星野リゾートの星野佳路社長は、分類的には後継社長だが、既存事業を大きく変革した点では創業社長ともいえ、分類をまたぐような社長も存在する。ただ、創業社長は同じ起業家仲間と、後継社長は後継社長同士で、プロパー社長は他のプロパー社長と仲良くする傾向が強い。おそらく苦労している点などで共通する部分が多いからだろう。