勝つことより、負けないこと

アフリカのある部族が雨乞いすると、不思議なことに必ず雨が降るそうだ。理由は簡単。雨が降るまで、何日間でも雨乞いを続けるからだ――。

「勝つ」の反対は「負ける」だが、「負けていない」ことは必ずしも「勝っている」と同じ意味ではない。会社経営では、ものすごく儲かっているわけではないけれど、今すぐ潰れそうでもないという状態は、むしろ平時といっていい。

経営しているからには、やはり勝ちたい(儲けたい!)。経営者はそもそも負けず嫌いな性格の人が多く、いかに勝つかばかりを考えがちだ。しかし、実際に勝つことは容易ではない。

皆さんは近場の飲食店で、こんな経験をしたことがないだろうか。料理は安くて美味しいし、立地も雰囲気も悪くない。しかし、なぜだかお客さんが入っていない。いつ来ても並ぶ必要がなく、一人の客としては大歓迎な状況だけど、お店の経営ははたして大丈夫だろうか。他人事ながら心配になるような経験だ。

努力の甲斐あって良い製品やサービスを作ったとしても、必ずしもすぐに注文が殺到するわけではない。法人向けだったり、高価格の商品やサービスであったりすれば、なおさら時間がかかる。しかし、それにめげることなく、顧客が求める製品やサービスに磨き続け、プロモーションを地道に継続すれば、ある時から突然、売上げが急拡大する。

ポイントは、「勝つ」ことをコントロールすることは難しいということだ。一方、「負けない」ことは、しっかりと計画すれば、かなりコントロールできる。売上げは必ずしも思い通りにならないが、支出は比較的コントロールしやすい。

企業経営では、勝つことばかりに目が行きがちだが、まず負けない戦いをしっかりと計算し、勝つチャンスをできるだけ長期にわたって確保できるかが大切になる。サイコロを振り続けなければ、勝つチャンスは永遠に訪れない。勝つことよりも、まずは負けないこと。自戒を込めつつ。