自動運転と駐車場ビジネスの未来

How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス)』(日経ビジネス文庫)は、2001年から11年まで グーグルのCEO(最高経営責任者)を務めたエリック・シュミットなどが執筆した書籍だが、この本の「おわりに」に以下のような一文があった。

「(自動運転が普及することで)車を所有する唯一の理由は移動手段としてではなく、趣味のためになるだろう」

自動運転は、できるかできないかの可能性の問題ではなく、いつ実現するかという時間の問題になっている。そして、それが実現した時、世の中の仕組みが大きく変わることは間違いない。

真っ先に思い浮かぶのは、トラックやバス、タクシーの運転手の大部分が不要になることだろう。タクシーの経費のかなりを占める運転手の給料がなくなれば、タクシーの運賃は大幅に下がり、移動費を抑えるために公共交通といわれる電車やバスに乗る必要がなくなる可能性すら秘める。

さて、駐車場。車とは、言うまでもなく人や物を目的地まで運ぶことが本来の役割で、駐車場に停まっているのは、工場でいえば稼働していない状態だ。本来の役割を果たさず、待機しているわけで、駐車場にいる時間をできるだけ短くし、稼働率を高めるのが本来の車の目指すべき姿といえる。そして、自動運転ならば24時間、年中無休で人や物を運べる。

シェアリングエコノミーが広がり、車もカーシェアが普及する中、みんなで車を共有し、稼働率をできるだけ高めることで、車を安く利用できる環境が、そう遠くない将来に確実に訪れる。現状もカーシェアが急激なスピードで伸びているが、自動運転化によって、カーシェアとタクシーの境界線が消え、バスや電車など公共交通の一部も取り込み、従来の棲み分けを超えた巨大な競争が始まる。

こうして車の稼働率が大幅に高まることで、駐車場ビジネスは大きな打撃を受けるだろう。もちろん稼働率が高まるとはいえ、100%には現実的にならない。次の稼働までの待機場所として駐車場は必要だろうが、その市場規模は現在よりもはるかに小さくなるはずだ。