講談はじめました、そして宇治へ

先週の日曜日から大阪講談協会の「旭堂南陵講談塾」に通い始めた。巷では六代目神田伯山が大変なブームだが、純粋な講談への関心だけでなく、仕事のプレゼンテーションなどで講談の要素を取り入れることによって差別化できるのではという極めて不純な思いもあって入塾を決めた。

そして入塾初日。大阪・谷町六丁目駅近くの住宅街にあるちんどん屋さんの事務所の1階が稽古場で、入って右側の長机2台に順番待ちの生徒が待機し、左側の奥に旭堂南照先生、それと向かい合うように手前に生徒が座り、1対1で10-15分ほどそれぞれ稽古をつけてもらう。

入塾者は戦いのシーンを描いた「修羅場読み」からまずスタートする。私が渡されたのは、「宇治川の一番渡り」という台本。これは源氏と平家との軍記物語『源平盛衰記』の中の話で、木曾義仲軍と源頼朝軍が宇治川で対戦する話だ。

まず故四代目旭堂南陵の録音を聞きながら自らのスマートフォンに再録音した後、南照先生と一緒に声に出して読んでいく。

これが実に難しい。まず意味を知らない単語が多く、早口言葉のように言いにくい個所が何カ所もある。息継ぎをなるべく減らし、一気に大声で読み上げると同時に、声量を一定に保つ必要がある。

いや、そんなことよりも文章自体が決定的に面白くない。

文章のかなりの部分は、鎧や兜など武将の出で立ちや出自、乗っている馬の鞍や鐙などの説明が延々と続く。渡された3ページの中からストーリーの部分だけを抜き出すと、頼朝軍の佐々木と梶原が対岸の義仲軍に向けて宇治川を馬で渡ろうとしているというだけの内容。

この難解で、面白くない台本をいかに覚えるか。記憶力が子供の時から人よりもかなり劣っていることもあり、早くも講談に向いていないのでは、と悪魔のささやきが聞こえる。案の定、5日ほど頑張ったが、一向に覚えられる気配はない。

そこで、現地に行けば少しは覚えられるのでは、こういう時こそ現場主義、と昨日は久しぶりにお昼から雨上がりの宇治へ。

【宇治の荒瀬を実感】

宇治川に浮かぶ橘島に「宇治先陣の碑」があるそうで、これはぜひ見てみたいと思ったものの、当日は写真の通り“増水のため立入禁止”。

川岸で恥ずかしそうに小声で何回が台本を読んでみたが、ほとんど記憶力の向上につながった形跡はない。「瀬まくらだって押し流れる荒瀬」という一文が実感できたことと、帰りに偶然見つけたお店で飲んだチャイが美味しかったことが数少ない収穫か。

※JR宇治駅から近い素焼きの鉢で飲む立ち飲みチャイ専門店「ワッテチャイ」お薦めです。